abbey

11月18日(日) 午後6:00 青山円形劇場

私は、好きな役者さんがいなければ舞台も映画も観ません。
観に行っても、その役者さんばかり追いかけていてストーリーがわからないこともあります。
そんないい加減な観方しかしない私が、珍しくのめり込んで観た舞台でした。
好きな役者さんだけでなく、全ての登場人物に、同じような目が向けられたこと、
自分でかなり驚いています(笑)

でも、何がそんなによかったのか・・・実は、うまく説明できないところがあります。
私は人間が甘いので、物語はハッピーエンドでなければ受け付けません。
現実が厳しいから、せめて非日常的な世界は 「めでたし、めでたし」 で終わってほしいから。
では、『abbey』 がハッピーエンドかというと、これが全然・・・
どう考えても、登場人物の誰一人として簡単に幸せになれそうにないのです。

 (注)11月26日(月) 伊藤くんが出演するライブ 「BARABAN NIGHT!」に行き、
    微妙に彼らに向ける目が変わりました。
    それは舞台を観ての感想じゃないだろう?とも思うのですが、
    私は別に評論家とかじゃないからってことで(笑)
    この記事の最後のほうに追加して書き残しますが、かなりのネタバレなので要注意。

 ***

コージ(abbeyのリーダー ボーカル&サイドギター:加藤良輔)
 自傷行為を繰り返していた彼は、キョーヘイにバンドをやろうと誘われて救われる。
 しかし、そうして結成したabbeyも半年後には解散が決定。
 半年限定でも、その半年の間は全力で走ろうと叫んだけれど、
 何かあると息苦しくなってリストカットしそうになる、どこか脆い部分のある彼は、
 そこをどう乗り越えていくのか。

キョーヘイ(リードギター:伊藤陽佑)
 類稀なる才能を持った彼は、abbeyの中心的存在。
 でも、その才能ゆえに思い通りにならなくなる。
 彼一人を売り出そうとする所属事務所の思惑や、そのために仲間との関係にも亀裂が。
 仲間とともに在りたいという願いは叶うのか。
 常に孤独の影を引きずるようにして生きていくしかないのかもしれない。

ジュン(ベースギター:三浦孝太)
 キョーヘイとは古い付き合いらしいが、音楽的才能はあまり感じられない。
 abbeyが解散したら、果たして彼は音楽で生き残れるのかといえば、かなり疑問だ。
 メジャーデビューはしたくても、それだけのことで、音楽への情熱はきっと薄い。
 彼の中では、何が目標なのだろうか。
 
タク(キーボード:篠山輝信)
 コージの弟だが、どうやら“出来の悪い”がつくらしい。
 未成年だというのに、彼女(ジュンの妹・メグ)が
 どこぞの病院で検査を受けるようなお付き合いをしている。
 彼もまたメジャーデビューには心惹かれているようだが、技術がない。
 このまま兄の後ろをついて歩くような人生を送るのか。

シンスケ(ドラム:森山栄治)
 4人だったabbeyに後から入ってきた彼は、バンドを渡り歩いている。
 瞑想と称して、実はドラッグに手を出しているようだ。
 元カノは歌姫と言われているルイ。
 4人に本当の意味で仲間として受け入れられるのか。
 ルイとよりを戻したとしても、果たして上手くやっていけるのかどうか・・・難しそうだ。

ルイ(DEARのボーカル:小野まりえ)
 別れたシンスケのことを、どうやら今も思っているようだ。
 彼女も今は人気絶頂だが、その人気ももって半年と言われている。
 事務所にとっては商品のひとつに過ぎない彼女の行く末も、決して明るくはない。

サトウ(音楽プロデューサー:粟根まこと)
 昔はフライハイトという人気グループでドラムを叩いていたが、
 事故でサクライという天才ギタリストが亡くなり、彼も右耳の聴力を失った。
 生きる気力を失っていた彼が、abbeyと出会い、再び音楽とともに生きようと決意する。
 父親の借金のために身動きできないキョーヘイのために、サクライのギターを売り、
 abbeyと一からやり直すと宣言して事務所を辞めると言うが、前途多難に思える。
 
マツシマ(スタッフ:永井秀樹)
 昔は、サクライの憧れのギタリストで、お互いに追いかけていた。
 30半ばを超えてもメジャーデビューできず、スタッフに甘んじていたが、
 お金を貯めてアメリカへ渡り勝負をかけるという。
 サトウが言うように、アメリカへ渡っても成功するとは思えない。
 その厳しい現実にぶつかった時、彼はどうするのだろう。
 
サカモト(プロダクションの専務:鈴木省吾)
 事務所に所属する者は商品でしかなく、どうすれば売れるかしか考えていない。
 人としての情とか、思いやりとか、そういうものとは無縁だ。
 事務所を辞めてabbeyとともにやり直すと言うサトウに 「潰す」 とひと言。
 何もかも自分の思い通りに動かそうとする彼が、最終的に手にするのは何か。
 歩いていく先に、思い描く幸せがあるとは思えない。

 ***

abbeyは半年限りのバンドだというけれど、半年だってもつかどうかわからない。
明日にも再び解散宣言をしそうなほど、彼らの関係は壊れている。
一度お互いの信頼関係に亀裂が入ると、修復するのはかなり困難だ。
それでも、もう一度やり直してほしいと思う。
せっかくお互いの本音をぶちまけたのだから、もう壊れるものもないだろう。
ぶつかり合いながらも、このメンバーで一緒に進む道を選んでほしいと願う。

コージには、簡単にリストカットするなんて考えは捨ててほしい。
キョーヘイには、辛くても自分の才能を大切にしてほしい。
ジュンには、自分がどう歩いて行きたいのか考えてほしい。
タクには、兄に頼らずに責任感を持って歩いてほしい。
シンスケには、難しいことだけれど焦らずにまっすぐ進んでほしい。
ルイには、自分の気持ちに素直に生きてほしい。
サトウさんには、大変だけどこの連中といっしょに自分自身も大事にしてほしい。
マツシマさんには、アメリカで何かを掴んできてほしい。
サカモトさんには、自分の歩いている道が正しいかどうか考えてほしい。

誰も思い通りの人生を歩いていなくて、
どこに向かっているのか、本当にその道でいいのか、全然わからなくて・・・
正直明るい未来が待っているようには思えないんだけれど、
でも、努力次第で拓ける道も確かにあるから、あきらめないでがんばってほしいなぁ。

な~んて、どこをどういうふうに観ると、こういう感想になるのかねぇ(笑)
でも、私には、珍しくリアルだなって思えた舞台でした。
身近な、という意味ではなくて、安易なサクセスストーリーじゃないところが。

最初にお断りした “かなりのネタバレ” 部分です。

もうライブの幕が上がるという時に、タクは検査を受ける彼女の元へ走ります。
ライブのステージに上がった彼らは、ここで解散宣言をするはずでした。
MCをやるように言われていたキョーヘイは、マイクを握ったままなかなかそれが言えず・・・
そんな彼のマイクを奪い、コージは叫ぶように言いました。
「abbeyはどうやら半年限りのバンドみたいです。でも、半年間、全力で突っ走ります!」
驚き、呆れながらも、嬉しそうなメンバーの笑顔。
それぞれ楽器を手にして歌い始めようという時に、タクが戻ってきてジュンに耳打ち。
ジュンは、何やら笑顔でタクを小突いたりしています。
そして、キョーヘイの 「行くぜ!」 の声とともに、ライブが始まります。

このラストシーンで、タクは何と耳打ちしたのか、アンケートの質問にも多かったようです。
その謎は、伊藤くんが出演している 「BARABAN NIGHT!」 で解けました。
会場に遊びに来ていたジュンとタクもステージに上がり、この話題に。
「メグは、オレが幸せにする」 そう言ったんだそうです。
一度、テンションが上がり過ぎて頭が真っ白になり、
耳打ちはしたものの、何も言わなかったことがあったとか(笑)

「メグは、オレが幸せにする」 ・・・なるほど、そう言えば丸く収まるかも。
彼女からのメールを怖がっていないで、最初から誠意を見せりゃいいのに・・・
そう思わなくもないけど、とりあえず無責任な人間ではなかったわけですね。

ステージに並ぶ彼らを見ながら、
きっと こうやってみんなで一からやり直しているんだろうと思いました。
ハッピーエンドにやや近づいた、そんな気持ち・・・我ながら単純ですね(笑)


 ***

ここからは、超余談なのでスルーしてけっこうです。

舞台を観ていたら、洋画家だった父のことを思い出しました。
日本中の誰もが知っているような有名人ではありませんが、まぁ、そこそこ(笑)
「売るための絵は描かない」
いつだったか、そう言ったんですよ。
聞けばカッコいい言葉だけれど、じゃ生活するのはどうするのって話です。
そういう世界に関係している人なら、買うっていう考えが浮かぶでしょうけど、
普通に生活をしていて、油絵なんか買わないでしょう?

好きなことを仕事にしても、それで生活していくって大変なことですよね。
うちは母が働いていたから、裕福ではないけどお金の心配がそれほどありませんでした。
だから、父は画家という仕事に専念できたのです。
一応名が通っていて、先生と呼ばれるまでになっていたのだから、
そういう意味では幸せだったのかなぁ。
父が何を目指していたのか、今になって聞いてみたくなりました。
本人にはもう聞けないので、母にでも聞いてみようかな。

音楽の仕事も、役者という仕事も、似たようなところがあるから。
いろいろと壁にぶつかるかもしれないけど、がんばってほしいなぁ、ほんと・・・伊藤くん。
 
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by hiro3egao | 2007-11-19 23:20 | 舞台
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